チタンとジルコニウム、ともに人体に無害で金属アレルギーにも有効性の高い金属です。
金属の価値というのは、埋蔵量イコール金属の値段といった単純な式で決められているわけではありません。
サージカルステンレスの原料の鉄鉱石が豊富であり、精錬も広く普及していることから、ステンレスは最も身近に手にできる金属です。一方チタンの原料となる金属鉱物資源は地中にある程度埋蔵量があることが知られているにも関わらず、稀少となっている理由はその、精錬に要する非常に高度な技術にあります。
ステンレスとは違い、純チタンを精製するには非常に高度な技術を要するため、容易に流通せず希少金属と位置付けられコストにも反映されています。
たとえ地中にたくさんあっても、地上で我々がチタンとして手にしがたい希少な金属だと言えます。
コストに反映しているものには「需要」も大きく関係します。
ジルコニウムの需要というのは、ハフニウム、ウランとともに原子力産業からの需要がメイン(90%)です。
ジルコニウム材ともなると、原子力関連というカテゴリーに位置付けられ誰もが自由に輸入する事は出来ず、経済産業省令の定める手続きに従い、経済産業大臣の承認を得なければ輸入できないハードルの高さがチタン以上にジルコニウムのコスト高に繋がっていることから、ジルコニウムの流通コストに反映されている現状があるのです。
<h2>金属の背後霊「TMR係数」リサイクル</h2>
出典:物質材料研究機構
http://www.nims.go.jp/research/elements/rare-metal/study/
希少資源とリサイクル/環境省
プラチナや金などの貴金属は、たとえ指輪にはわずかしか使われていないとしても、鉱山から採掘される現場ではその何十万倍もの土砂に混じった鉱物を掘り起こしています。1tonの金属を得るのに何トンの土壌や水等の天然資源を消費するかをTMR係数と呼ばれたり、金属資源の背後霊と言われたりします。
1gの金属資源を採取するのに必要な関与物質総量
鉄を採るために必要な残土鉱物は約8gなのに対し、銅は1グラムに対し約360gの土を掘り、銀は約4.8kg、プラチナは約520kg、ゴールドは約1.1tも掘られて捨てられます。
鉱山ではなく、日本国内にあるとされる地上資源として、どれだけの金属資源が存在するのか、推計する研究が行われています。国内に蓄積されているゴールドは6,800トン、タンタルは4,400トンあり、地球全体の現埋蔵量に占める比率に換算すると、ゴールドは16.36%も保有しており、タンタルは10.41%も使われないまま家庭で保管(退蔵)されたり現在使用されたり、日本に埋もれている計算になります。マイナーメタルはもっと声高にリサイクルを推進されなければいけない希少な金属です。